ロトのベルリン・フィル・デビュー
日本でも話題のフランス人指揮者フランソワ=グザヴィエ・ロトがベルリン・フィルにデビューしました。プログラムは、リュリのバロック音楽からドビュッシー(管弦楽組曲第1番)、ラヴェル(《ラ・ヴァルス》)の印象派、ヴァレーズ(《イオニザシオン》)の現代音楽に至るもので、彼の多彩な関心と得意分野をカバーするものとなっています。ベルリオーズ《夏の夜》でのアンナ・カテリーナ・アントナッチの官能的な歌唱にも魅せられます。
ケルン市の音楽総監督を務めるフランソワ=グザヴィエ・ロトが、ベルリン・フィルにデビューを果たしました。斬新な解釈でクラシック音楽界に新風を吹き込むロトが披露するのは、3世紀に及ぶフランス音楽の歩みです。
1632年にフィレンツェで生まれたジャン=バティスト・リュリは、叙情悲劇の創設者として、フランス音楽に大きな影響をもたらした作曲家。彼は古代の神々や悲劇的な英雄のみならず、市井を生きる人をも題材に取り、コメディ・バレという新しい音楽劇を開拓しました。モリエールとの最後の共同作業となった《町人貴族》はその代表的な成果で、音楽と言葉、踊りが一つの総合芸術を作り出しています。
続く《夏の夜》は、ベルリオーズが1834年から38年にかけて友人の詩人テオフィル・ゴーティエの6つの詩を題材にした歌曲集です。ここではやはりベルリン・フィルと初共演となるイタリア人ソプラノ歌手、アンナ・カテリーナ・アントナッチの歌唱にご注目ください。ベルリオーズは19世紀のフランス音楽の革命家と評されていますが、19世紀末の転換期に新しいアクセントを加えたのがドビュッシーとラヴェルでした。今日音楽愛好家の間ではフランス音楽の同義語にもなっている印象派音楽の中から、色彩豊かな2作品をお届けします。
冒頭の演目《イオニザシオン》を作曲したエドガー・ヴァレーズは、第1次世界大戦の勃発後に故郷のパリを去り、アメリカに移住した作曲家です。ヴァレーズは音楽の中にノイズを持ち込んだ先駆者であり、当夜に演奏される13人の打楽器奏者のためのこの作品では、緊張感みなぎるパーカッション・アンサンブルをお聴きいただけるでしょう。
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