ブロムシュテットのブルックナー、ピリスのモーツァルト

日本でも絶大な人気を誇るヘルベルト・ブロムシュテットがブルックナーの交響曲第3番を指揮しました。今回は1873年初演版を取り上げましたが、このヴァージョンは近年人気を博し、市民権を獲得したと言えます。ブロムシュテットの飄々とした音楽性と、一種の軽快さを備えた曲調が絶妙なマッチを見せています。前半は、マリア・ジョアン・ピリスの独奏によるモーツァルトのピアノ協奏曲第23番です。2018年に惜しまれつつ引退したピリスですが、ここでも透明な抒情美を聴かせています。

1872年から73年にかけてブルックナーが作曲した交響曲第3番に関連して、この作曲家は苦難の道を歩むことになりました。1874年にウィーン・フィルが初演を拒否したことから、ブルックナーはワーグナーに献呈したこの交響曲に対し最初の校訂作業に取りかかります。ようやく1877年12月に初演の機会が訪れますが、当初指揮する予定だった指揮者ヨハン・ヘルベックがその数週間前に亡くなり、ウィーン・フィル側はブルックナーに急遽指揮を要請。しかし、彼に指揮の経験が乏しかったこともあり、初演は失敗に終わってしまったのです。意気消沈したブルックナーは大幅に短縮した第3稿を書き、1890年12月、ハンス・リヒター指揮ウィーン・フィルによって改めて初演されると、今度は一応の成功を収めました。しかし、当時の聴衆の趣味に合わせる形で書き直されたこの第3稿が果たして交響曲第3番の「ベスト」であるかどうかという問いが、20世紀中頃になって出てくるようになりました。今回ヘルベルト・ブロムシュテットは、1873年の初稿を取り上げています。
 
前半はモーツァルト弾きとして名高いマリア・ジョアン・ピリスの独奏による、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番です。1786年3月にやはりウィーンで初演されたこの作品は、独特の優美さと翳りをたたえており、瞬く間にモーツァルトのピアノ協奏曲の中でも特に人気の高い1曲になりました。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・ブロムシュテット
マリア・ジョアン・ピリス

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アーティスト

ヘルベルト・ブロムシュテット 指揮
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 作曲
マリア・ジョアン・ピリス ピアノ
アントン・ブルックナー 作曲

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