ソヒエフがチャイコフスキーを指揮、ヴュータンのソリストはハーン!
バイロン卿が1817年に書いた劇詩《マンフレッド》はロマン派文学の鍵となる作品と言えるでしょう。チャイコフスキーが1885年に《マンフレッド》を基に書き上げた表題交響曲は、今日まで上演される機会が稀な大作です。今回客演したのは、ベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者を務めていたトゥガン・ソヒエフ。前半は、ヒラリー・ハーンを独奏に迎えてアンリ・ヴュータンのヴァイオリン協奏曲第4番をお届けします。
バイロン卿が1817年に書いた劇詩《マンフレッド》はロマン派文学の鍵となる作品と言えるでしょう。エリザベス朝の劇作品と18世紀英国の怪談小説の文体の特徴、さらに古代のオルフェウス神話の要素を駆使して、バイロンは主人公のマンフレッドを描きました。マンフレッドは神ほどの万能感を獲得しながらも孤独に思い悩み、世界苦と満たされない知への渇望に絶望し、やがて破滅を迎えるのです。
バイロンは《マンフレッド》をゲーテの《ファウスト》への回答として書き上げたのでした。そこに描かれた壮大な自然描写や不気味な精霊、ドラマチックな出来事は、ベルリオーズに作曲の素材として関心を抱かせ、シューマンは1848年に劇音楽《マンフレッド》を作曲します。そして1885年、チャイコフスキーは《マンフレッド》を基にした大規模な管弦楽作品を書き上げました。翌年モスクワで初演されたこの作品は、4楽章から成る交響詩と表題交響曲の中間に位置づけられる大作であり、今日まで上演される機会は稀です。
この公演に客演したのは、当時ベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者を務めていたトゥガン・ソヒエフ。前半は、ヒラリー・ハーンを独奏に迎えてアンリ・ヴュータンのヴィルトゥオーゾ作品をお届けします。こちらも演奏される機会が稀なヴァイオリン協奏曲第4番を、ハーンの巧みな技巧でお楽しみください。
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