ネルソンスがショスタコーヴィチでベルリン・フィルにデビュー
ヨーロッパ指揮界の新星として注目されているアンドリス・ネルソンスが、ついにベルリン・フィルの指揮台に立ちました。前半はヴァイオリニスト、バイバ・スクリデを迎えたベルクのヴァイオリン協奏曲。メインはショスタコーヴィチの交響曲第8番という大作。第2次世界大戦中の1943年に作曲されたこの作品には、戦争の残虐さと民衆の悲しみが表現されています。
2010年10月のベルリン・フィルは、若手指揮者のデビュー月間となりました。前2回の定期演奏会に続き、月後半のコンサートも2人のデビュー指揮者が担当。まずヨーロッパ指揮界の新星として注目されているアンドリス・ネルソンスが、ついにベルリン・フィルの指揮台に立ちました。ラトヴィア出身のネルソンスは、現在ボストン交響楽団の首席指揮者として活躍していますが、当時すでにウィーン国立歌劇場やバイロイト音楽祭でも高い評価を得ていました。
プログラム前半は、ベルクのヴァイオリン協奏曲。この作品は、ベルクが1935年、アルマ・マーラーの娘マノンの死に衝撃を受けて作曲したもので、ベルクの代表作に数えられます。歴史上初めて12音技法で書かれたヴァイオリン協奏曲ですが、その音調はむしろ耽美的で、「ポピュラー」とさえ言える演奏頻度を誇っています。ソロを務めるラトヴィア生まれのヴァイオリニスト、バイバ・スクリデも、今回ベルリン・フィル・デビューとなりました。
一方ショスタコーヴィチの「交響曲第8番」は、第2次世界大戦中の1943年に作曲されました。作品では戦争の残虐さと民衆の悲しみが表現されていると言われます。行進する軍隊の勇壮な調子が、空虚な物々しさで描かれ、大戦の虚しさが暗喩として組み込まれています。
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