シャイーが《ファウスト》にまつわるワーグナーとリストの2作品を指揮!
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督(当時)を務めるリッカルド・シャイーがベルリン・フィルにデビューしたのは、1980年1月、弱冠27歳のときでした。シャイーは当時を振り返って「ずっしりと重く、それでいて温かい響きは、私にとって本当に衝撃的でした」と語ります。この客演で取り上げられたのは、上演される機会が珍しいワーグナーのファウスト序曲と、リストの大作ファウスト交響曲です。
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督(当時)を務めるリッカルド・シャイーがベルリン・フィルにデビューしたのは、1980年1月、弱冠27歳のときでした。演目はシェーンベルクの室内交響曲第1番とチャイコフスキーの交響曲第4番。シャイーは当時を振り返って「ずっしりと重く、それでいて温かい響きは、私にとって本当に衝撃的でした」と語ります。その後間もなく、彼はベルリン放送交響楽団(現ベルリン・ドイツ交響楽団)の首席指揮者となりますが、「それと平行して、私はベルリン・フィルを指揮する機会も与えられ、カラヤンとのつながりを深めることができたのです」(シャイー)。
シャイーはこの11月の客演で、上演される機会が珍しいワーグナーのファウスト序曲と、リストのファウスト交響曲を指揮します。ファウスト交響曲の第1楽章で、リストはファウスト序曲の主題をパラフレーズしています。続く第2楽章〈グレートヒェン〉は情緒的な音楽。リストの伝記を書いた音楽評論家のリヒャルト・ポールは、「反リスト派の者も、ここでのグレートヒェンの魔力から逃れることは不可能だった」と賞賛しています。不気味な第3楽章〈メフィストフェレス〉では、ファウストの主題がゆがめられ、パロディー化されますが、その手法はベルリオーズの幻想交響曲から影響を受けています。ゲーテの《ファウスト 第2部》の最後の詩に作曲した合唱付きの終幕部分では、輝かしいハ長調となって大団円を迎えます。
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