古楽の女王アイムがヘンデルのオラトリオ《復活》を指揮
エマニュエル・アイムが、ベルリン・フィルに3度目の登場を果たしました。パワフルな指揮ぶりとチャーミングなキャラクターで魅了する女流ですが、今回は、ヘンデルのオラトリオ《復活》全曲を指揮。ベルリン・フィルの古楽演奏の「今」を観察する意味でも、極めて興味深い演奏会です。カミッラ・ティリング、クリスティアーネ・カルク等の旬の歌手たちも、聴きものです。
2008年3月5日、記憶に残る公演がフィルハーモニーで行われました。2人の女性指揮者が一夜の公演でベルリン・フィルへのデビューを果たしたのです。スザンナ・マルッキがヴェーベルンとストラヴィンスキーの作品を、エマニュエル・アイムがヘンデルの《聖セシリアの日のためのオード》を指揮したのでした。もっとも、フランス人指揮者のアイムがベルリン・フィルと共演したのはこの時が初めてではなく、2002年にラトル指揮のバッハのヨハネ受難曲で通奏低音を担当しています。2011年の客演の際、アイムはラモーとヘンデルのプログラムで指揮とチェンバロの二役をこなし、バロック音楽のスペシャリストとしての確かな力量を披露しました。「チェンバロを弾きながら指揮するのは、私にとってごく自然なことで、演奏者たちとより強くつながっているような感覚を持てます」と、アイムはデジタル・コンサートホールのインタビューで語っています。
今回アイムが指揮するオラトリオ《復活》は、ヘンデルが23歳の時にローマで書いた作品。キリストの復活の意味をめぐって天使と悪魔が争い、思索をします。その宗教的な内容にも関わらず、ソプラノ役を女性に歌わせたことで、ヘンデルは教皇クレメンス11世の怒りを買うことになりました。今回の公演では天使役にカミッラ・ティリング、悪魔役にクリストファー・パーヴェスを配し、脇を固めるクリスティアーネ・カルク、トピ・レティプーなど旬の歌手も大きな聴きものになっています。
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