ベルリンの壁開放25周年記念演奏会。ラトルが「第9」を指揮
ベルリンの壁は、25年前の1989年11月9日に開放されました。このコンサートはそれを記念するもの。プログラムには、平和と自由の賛歌とも言えるベートーヴェン「交響曲第9番」が選ばれています。同時に、ドイツ分断の犠牲となった人々を悼む意味で、シマノフスキの「スターバト・マーテル」も演奏されました。指揮は、サー・サイモン・ラトルが担当します。
1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊してから2014年で丸25年。サー・サイモン・ラトルとベルリン・フィルは、今回の記念公演で歴史的な日に思いを寄せました。自由と兄弟愛へのメッセージを放つベートーヴェンの交響曲第9番ほど、このような場にふさわしい作品はないでしょう。サリー・マシューズ(ソプラノ)、ベルナルダ・フィンク(アルト)、ハンノ・ミューラー=ブラッハマン(バス)に加え、2012年5月に行われたワーグナーの《ワルキューレ》の演奏会形式上演でジークムント役を歌い絶賛されたクリスティアン・エルスナー(テノール)が、ソリストとして出演します。
前半の演目、ポーランドの作曲家カロル・シマノフスキの「スターバト・マーテル」では、ベルリンと世界の分断による犠牲者を追悼します。イエス・キリストが磔刑となった際に母マリアが受けた悲しみを描いたこの作品では、「テキストの理解のために」という作曲家の意図により、ラテン語のテキストのポーランド語訳が使われているのが特徴です。作品は4つの曲から成り、ポーランド語に馴染みのない聴衆をも引き込む感情的な力を内包しています。1990年代初頭、ラトルはこの「スターバト・マーテル」をバーミンガム市交響楽団と録音しており、彼にとって思い入れの強い作品。ソプラノ独唱を務めるサリー・マシューズは、すでに音大在学中、栄誉あるキャスリーン・フェリアー賞を受賞しています。
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