ラトルのシベリウス・ツィクルス第1弾
サー・サイモン・ラトルは、バーミンガム市響の音楽監督時代からシベリウスの交響曲を熱心に取り組んできました。ベルリン・フィルとは2010年に交響曲ツィクルスを行っていますが、2015年の3日間の連続演奏会では、さらに円熟した成果を披露しています。第1日目は、後期ロマン派に特有の濃厚な作風を持つ交響曲第1番と、シベリウスの作品の中でもとりわけポピュラーな交響曲第2番が取り上げられています。
サー・サイモン・ラトルは、バーミンガム市響の音楽監督時代からシベリウスの交響曲を熱心に取り組んできました。まとまったレコーディングを残さないラトルとしては珍しく、1981年から87年の早い時期に、バーミンガム市響と交響曲全曲を録音しています。ベルリン・フィルとは2010年に交響曲ツィクルスを行い、2015年初頭の3日間の連続演奏会で、さらに円熟した解釈を披露しています。
シベリウスは民俗叙事詩「カレワラ」に基づく交響詩で試みた技法を生かし、これらの作品を特徴付けるラプソディー風の基本性格を交響曲に転用しました。当初、伝統的な4楽章形式に固執したシベリウスは、1899年、極めてメロディックで、劇的な表現力を持つ交響曲第1番を作曲しました。「カレワラ」の歌を連想させるような即興的で、悲しみの表情を持つクラリネット・ソロにより、曲は始まります。チャイコフスキーの《悲愴》交響曲に啓発されたかのような、後期ロマン派に特有の濃厚な作風を持ち、実際この2曲の作曲時期は数年ほどしか違いません。続く交響曲第2番は、シベリウスの交響曲の中でもっともポピュラーな作品と呼べるでしょう。「カレワラ」の典型的な抑揚の影響にありながら、親しみやすい旋律を持ち、第4楽章では壮大なクライマックスが形成されます。1902年に作曲家の指揮で行われた初演は大成功を収め、すぐに追加公演が行われたほどでした。
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