巨匠ハイティンクのベートーヴェンとワーグナー、ソリストは藤村実穂子!
ベルリン・フィルと長年に渡る共演歴を持つベルナルド・ハイティンク指揮の演奏会です。ナポレオンにまつわるエピソードがよく知られたベートーヴェンの《英雄》。前半には《ジークフリート牧歌》とヴェーゼンドンク歌曲集という、ワーグナーが自身の極めてプライベートな環境から作曲した2作品が演奏されています。知的な歌唱を聴かせるソリストの藤村実穂子は、この時がベルリン・フィルへのデビューとなりました。
ベルリン・フィルと長年に渡る共演歴を持つベルナルド・ハイティンク指揮の演奏会です。プログラムのメインを飾るのは、ベートーヴェンの交響曲第3番。1804年、元々ナポレオンを讃えるために書かれた作品ですが、ナポレオンの皇帝即位の知らせにベートーヴェンが激怒し、スコアの表紙を破いてしまったというエピソードはよく知られています。
第4楽章の主題は、1801年に作曲したバレエ音楽《プロメテウスの創造物》から取られていますが、それは偶然ではありません。啓蒙主義の時代、人間に光をもたらしたとされる古代の女神プロメテウスは象徴的な意味を持っていました。かのゲーテはナポレオンの死後、こう語っています。「ベートーヴェンが(英雄交響曲で)人々にもたらしたのはやはり光。つまり、道徳的な啓蒙なのだ」
コンサートの前半には、ワーグナーが自身の極めてプライベートな環境から作曲した2作品が演奏されます。1870年、コジマ・ワーグナーの33歳の誕生日のために書かれた《ジークフリート牧歌》。そして、1857年、ワーグナーが恋人マティルデ・ヴェーゼンドンクの詩に曲付けし、当時作曲中だった《トリスタンとイゾルデ》と《ニーベルングの指輪》の影響のもとにあるヴェーゼンドンク歌曲集です。ソリストを務めるのは藤村実穂子。ワーグナー歌手としてもすでに確固たる地位を築く藤村ですが、この時がベルリン・フィルへのデビューとなりました。
© 2012 Berlin Phil Media GmbH
関連インタビュー