ハイティンクがマーラーの《大地の歌》を指揮

巨匠ベルナルド・ハイティンクがシューベルトの《未完成》とマーラーの《大地の歌》で客演しました。後者は、バリトン版による演奏。ベルリン・フィルの常連であるクリスティアン・ゲルハーヘルが、リート歌手としての能力を十全に示しています。テノール・パートは、近年ヘルデンテノールとして評価が高いクリスティアン・エルスナーが担当。枯淡の境地にあるハイティンクの自然体のマーラー、シューベルトに、身を清められるような深い感動を覚えます。

シューベルトが手がけた交響曲は13に上りますが、そのうち完成させたのは7曲に留まります。中でも、1825年に作曲した第8番ハ長調は、ベートーヴェン以降のロマン派交響曲の金字塔としての成果を打ち立てました。しかし、シューベルトはその前に書いた「未完成交響曲」の愛称で知られる第7番で、すでに交響曲作家としての名を不動のものとしています。完成させたのは2楽章のみながら、彼はここで主題の機能と楽章構造を伝統的なソナタ楽章の枠組みの中で新しく定義したのです。マーラーはシューベルトの音楽が秘める可能性にいち早く注目し、1876年7月の最初のコンサート出演でシューベルトの「さすらい人幻想曲」を演奏しています。その後も、シューベルトの交響曲を定期的に指揮し、シューベルトのリート伴奏も多く務めました。

マーラーの晩年の大作《大地の歌》は、限りある人間存在を中心テーマに据えた点で、シューベルトの《冬の旅》と比較することが可能でしょう。マーラーの現世への別れとなったこの作品では、最終楽章で破滅的な頂点が築かれ、繰り返し歌われる「永遠に」の言葉と共に静かに消え去ります。指揮はマーラー解釈の第一人者であるベルナルド・ハイティンク。今回はバリトン版による演奏で、ベルリン・フィルの常連であるクリスティアン・ゲルハーヘルがバリトンを、近年ヘルデンテノールとして評価が高いクリスティアン・エルスナーがテノール・パートを担当しています。枯淡の境地にあるハイティンクの自然体のマーラー、シューベルトに、身を清められるような感動を覚えます。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルナルド・ハイティンク
クリスティアン・エルスナー
クリスティアン・ゲルハーヘル

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アーティスト

ベルナルド・ハイティンク 指揮
フランツ・シューベルト 作曲
グスタフ・マーラー 作曲
クリスティアン・エルスナー テノール
クリスティアン・ゲルハーヘル バリトン

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