2012/13シーズンの締めくくりは、ラトル指揮によるブリテンの戦争レクイエム!
2012/13年シーズン最後の公演で取り上げられたのは、戦争への悲しみと憎しみを込めたブリテンの集大成ともいえる「戦争レクイエム」。ラテン語の死者のミサのテキストと第一次世界大戦で戦死したウィルフレッド・オーウェンの詩を並列して作曲された特異なレクイエムです。かねてよりこの作品に強い思い入れを持つサー・サイモン・ラトルが、ベルリン・フィルと豪華歌手陣との共演でお届けします。
自己の人生と特別な形で結び付き、生涯の友となるような芸術作品があります。サー・サイモン・ラトルにとって、ベンジャミン・ブリテンの戦争レクイエムはまさにそのような例で、彼はこの作品を繰り返し上演してきました。ブリテンは反戦への激しい訴えの中で、ラテン語の死者のミサのテキストと、第一次世界大戦末期に25歳で戦死した「戦争詩人」ウィルフレッド・オーウェンのショッキングな詩とを並列させたのでした。「私のもっとも重要な作品の一つとなるだろう。破壊への憎しみに溢れたこの偉大な詩は、このレクイエムに一種の釈義を形作っている」とブリテンは語っています。
スコアの表紙には、オーウェンの一節が書き記されています。「私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。詩はその悲しみの中にある。詩人の為しうる全ては、警告を与えることである」。1962年5月30日、コヴェントリーに新しく建てられたカテドラル(第二次世界大戦中、ドイツ軍によって爆撃)で行われたこの曲の初演は、圧倒的な成功を収めたのでした。
初演の5日前、「ロンドン・タイム」紙で長年音楽評論の主任を務めたウィリアム・マンの記事が掲載されました。「レクイエムの新作はヴェルディ、フォーレ、モーツァルトのそれと常に比較される。ブリテンはこの課題を新鮮で繊細な方法で解決した。これは生者に慰めを与えるレクイエムではなく、死者の安息を助けるわけでもないが、人間の野蛮行為の非難へあらゆる生者の魂を揺り動かすだろう。紛れもなくブリテンの傑作である」。ブリテンの集大成ともいえるこの作品を、ラトル指揮ベルリン・フィルと豪華歌手陣による演奏でお聴きください。
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