ティーレマン、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」を振る
クリスティアン・ティーレマンが、ブラームスのドイツ・レクイエムを指揮しました。もともと声楽付きの作品に強いティーレマンですが、この作品は、彼独特の重心の低い響きと作品が完璧にマッチし、まさに圧倒的。ドイツの伝統を感じさせる重厚で濃厚な音楽作りに強い印象を受覚えます。クリスティアン・ゲルハーヘルのバリトン・ソロ、及びベルリン放送合唱団の間然とするところのない歌唱も、深い感動を与えます。
19世紀の偉大な交響曲作家であるヨハネス・ブラームスは、管弦楽作品だけでなく、合唱の分野でも多くの傑作を残しました。その代表作は1869年に初演された「ドイツ・レクイエム」でしょう。この輝かしい成功によって、ブラームスは一夜にして同時代の代表的な作曲家の仲間入りを果たしたのです。長年に渡って合唱団の指揮し、また先達のア・カペラ作品を徹底的に研究したことは、彼の作品に豊かさをもたらし、フーガ、モテット、合唱、リートなどのさまざまなジャンルを彼は一つの全体にまとめようと試みました。
プロテスタントの信者だったブラームスは、一般的なレクイエムにおけるラテン語の祈祷文ではなく、ドイツ語訳の旧約と新約聖書から自ら選んで作曲しました。来世の救済だけでなく、残された者の慰めも主題にしているのが特徴的です。彼らの悲しみと心の痛みに寄り添うように、ブラームスはドラマチックかつ内面に訴えかける作品を書き上げました。
カラヤン以降、「ドイツ・レクイエム」をベルリン・フィルと共演した指揮者は、ジュリーニ、アバド、アーノンクール、ハイティンク、ラトル、ラニクルズ。今回の演奏会で指揮するティーレマンが、このリストに加わりました。ティーレマンは大規模な合唱作品にも造詣が深く、2009年にはベルリン・フィルとブラームスの「悲歌」、「運命の女神の歌」及び「運命の歌」を共演し、絶賛を博しています。
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