インタビュー
マリス・ヤンソンス(聞き手:ラファエル・ヘーガー)
シューマンは、当時主流を占めていた名人芸を披露する協奏曲とは正反対の構想のもと、「交響曲と協奏曲、そして大ソナタの間にある作品」を目指しました。当初は冒頭楽章をピアノと管弦楽のための幻想曲として構想しましたが、出版社が無関心だったため、後に3楽章の協奏曲として完成させたという経緯があります。ソリストと管弦楽との間に緊密な結びつきが見られるこの作品を、クララ・シューマンは「極めて繊細にピアノがオーケストラに織り込まれている」と語りました。クララは1845年のドレスデンでの初演でソリストを務めたのみならず、1883年2月のベルリン・フィルとの初共演でもこの曲を披露しています。
後半はブルックナーの交響曲第6番。1883年2月にヴィルヘルム・ヤーン指揮ウィーン・フィルによってアダージョとスケルツォの中間楽章のみが初めて公開演奏され、かなりの成功を収めました。しかし、作曲家自身が「大胆なスタイル」で書いたというこの交響曲が全曲初演されたのは、作曲家の死後、マーラーの指揮によってでした。前作の第5番では対位法の粋を尽くした終楽章で頂点を迎えますが、この第6番では冒頭楽章に比重が置かれています。ヤンソンスは近年ブルックナーの作品を集中的に取り上げていますが、長い共演歴のあるベルリン・フィルとブルックナーを共演するのは意外にも今回が初。オケとの阿吽の呼吸、円熟の表現に深く魅了されます。
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