アバドがストックホルムのヨーロッパ・コンサート1998を指揮!
クラウディオ・アバドとベルリン・フィルによるヨーロッパ・コンサート1998は、ストックホルムのヴァーサ博物館で行なわれました。ヴァーサ博物館では、1628年の初航海で沈没、悲劇的な運命を遂げたスウェーデンの軍艦ヴァーサ号が展示されています。その場にふさわしく、ワーグナーの《さまよえるオランダ人》序曲やチャイコフスキーの交響的幻想曲《テンペスト》など海や嵐をテーマにした作品が演目に並びました。
クラウディオ・アバドとベルリン・フィルによるヨーロッパ・コンサート1998は、ストックホルムのヴァーサ博物館で行なわれました。ヴァーサ博物館では、1628年の初航海で沈没、悲劇的な運命を遂げたスウェーデンの軍艦ヴァーサ号が展示されています。
ワーグナーの《さまよえるオランダ人》序曲(1842年)は、主人公の幽霊船が荒れ狂う海をさまよう様子を描写しており、ヴァーサ号の不吉な航海を連想させます。交響的幻想曲《テンペスト》(1873年)は、チャイコフスキーがシェークスピアの戯曲をもとに作曲した作品です。ここでは、ベルリン・フィルがダイナミックな表現力を披瀝。激しい嵐や海の静けさの情景を、力強い音調で描き出しています。これらの両作品では、「海の嵐」と「女性の愛による救済」が重要なテーマとして対比されています。
一方、ドビュッシーの《夜想曲》(1899年)は、〈雲〉、〈祭〉、〈シレーヌ〉の3曲で構成。女声合唱が加わる第3曲〈シレーヌ〉は、美しい歌で船人を誘惑する海の精セイレーンをイメージしたものです。
ヴェルディの聖歌四篇は、作曲者晩年の合唱曲4曲がまとめられたものです。ここでは、スウェーデン放送合唱団、エリック・エリクソン室内合唱団の祈りに満ちた合唱が、ヴァーサ号を魂の救済へと導きます。
© 1998 EuroArts Music International