ティーレマンがベートーヴェンの《英雄》を指揮、リストとヘンツェの作品も
2015年1月には、クリスティアン・ティーレマンが2週続けてベルリン・フィルの定期演奏会に登場しました。今回取り上げられたのは、文学、あるいは神話とつながりのある3つの作品。ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの《夢の中の聖セバスティアン》、リストの交響詩《オルフェウス》、そしてベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》です。すでにウィーン・フィルとベートーヴェン交響曲全集を録音しているティーレマンですが、ベルリン・フィルとの《エロイカ》はいかに?
2015年1月には、クリスティアン・ティーレマンが2週続けてベルリン・フィルの定期演奏会に登場しました。今回取り上げられたのは、文学、あるいは神話とつながりのある3つの作品。ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの《夢の中の聖セバスティアン》は、ゲオルク・トラークルの詩をもとにした作品で、2005年にマリス・ヤンソンス指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団により初演されました。2012年に死去したヘンツェはトラークルの愛読者で、繰り返し彼の詩に曲をつけていることで知られています。
当夜はそのほか、古代の神話世界に基づいた2つの作品が演奏されています。ヘンツェの作品のちょうど150年前に作曲されたリストの交響詩《オルフェウス》、そしてベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》です。ベートーヴェンはこの作品の第4楽章に、1801年に初演されたバレエ音楽《プロメテウスの創造物》の旋律を取り入れています。彼がヨーロッパの啓蒙主義の象徴として、人間に光をもたらしたとされる古代の女神プロメテウスを用いているのは決して偶然ではありません。かのゲーテが後に語ったところによると、ナポレオンは人びとに「光、つまり道徳的な啓蒙も」もたらした(ベートーヴェンが当初、この交響曲をナポレオンに捧げようとしていたエピソードはよく知られています)。交響曲の歴史において画期的な意味を持つ《エロイカ》をティーレマンの指揮でお楽しみください。
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