ラトルが得意の《田園》を指揮!ルトスワフスキのヴァイオリン協奏曲はカヴァコスのソロで
「絵を描くというよりも感情の表出」であると、ベートーヴェンは交響曲第6番《田園》について語っています。サイモン・ラトルは、標題音楽の先駆けと言われるこの作品をかねてより得意としており、ここでも名演奏を披露しています。プログラムの前半ではルトスワフスキの二重協奏曲とデュティユーのヴァイオリン協奏曲が取り上げられ、後者ではアーティスト・イン・レジデンスのレオニダス・カヴァコスが独奏を務めました。
「絵を描くというよりも感情の表出」であると、ベートーヴェンは交響曲第6番《田園》について語っています。まだ絶対音楽と標題音楽との間に厳密な違いなどなかった時代にです。この作品の驚くべきところは、郊外への散歩を音楽に描いた新しさ以上に、作品の成立に関する経緯ではないでしょうか。彼は、かの交響曲第5番と並行して田園交響曲を作曲し、1808年12月22日にこの両作品を初演しているのです(同時にピアノ協奏曲第4番、ハ長調ミサの一部、合唱幻想曲が演奏されていますが、何というプログラム!)。
ロマン派的な標題音楽の先駆けと言われる《田園》に対し、極めて緻密に設計された絶対音楽である交響曲第5番。1人の作曲家がこれほど対照的な音楽を創作し得たのは、かつて例を見ないことでした。しかし、ベートーヴェンは、表現の可能性をとことん突き詰めるため、同じジャンルの2作品をしばしば同時に作曲したのです。サー・サイモン・ラトルは、この交響曲をかねてから得意としており、ここでも名演奏を披露しています。
プログラムの前半では、ルトスワフスキのオーボエ、ハープ、弦楽合奏のための二重協奏曲が、デュティユーのヴァイオリン協奏曲《夢の樹》と並べて演奏されました。ルトスワフスキでは、ベルリン・フィルのメンバーであるジョナサン・ケリーとマリー=ピエール・ラングラメが、デュティユーではアーティスト・イン・レジデンスのレオニダス・カヴァコスが独奏を務めています。
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