ピエール・ブーレーズ
作曲、指揮ピエール・ブーレーズは作曲家のみならず指揮者としても、20世紀から21世紀初頭にかけての代表的な音楽家であり、第2時世界大戦後のフランスとヨーロッパの文化政策に多大な影響を及ぼした。フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)を設立し、アンサンブル・アンテルコンタンポロンを指揮するなど、現代音楽に力を注いだ。彼の作品はシェーンベルクの十二音技法から、ストラヴィンスキーにおける多調性とリズムの実験、セリエル音楽に至る側面を発展させたもので、電子音響技術が使われているのも特徴である。代表作の《ノタシオン》は数十年かけて手を加え続けた。
指揮者としては近現代音楽のみならず、マーラーの交響曲やワーグナーのオペラをも積極的に取り上げた。バイロイト音楽祭には《パルジファル》でデビューし、中でも1976年に初めて指揮した《ニーベルンゲンの指環》(パトリス・シェロー演出)は、賛否両論も含めて伝説的な舞台で知られる。 ブーレーズとベルリン・フィルとの共同作業は1961年から2010年まで、ほぼ半世紀に渡って続けられた。彼はそこで自作と新ヴィーン楽派のほかに、とりわけバルトーク、ストラヴィンスキー、ドビュッシー、ラヴェルなどの作品を指揮した。感傷性を排し、キビキビとしたテンポによる音楽構造が明確に浮かび上がってくる解釈を特徴とする。