インタビュー
ラトル、カラヤンを語る カラヤン指揮:ベートーヴェン「第9」(1968年制作)
カラヤン&ベルリン・フィルの「第9」と言えば、クラシック音楽の代名詞でしょう。これは映像作品としては彼らの最初の「第9」に当たり、ここでカラヤンは、映像監督としてもデビューしています。
ヘルベルト・フォン・カラヤンがベートーヴェンの「交響曲第9番」を初めて指揮したのは、1939年、アーヘンでのことでした。1947年には、ウィーンで最初のレコードを録音。その2年後にロンドンで同作品を指揮した時は、『タイムズ』紙より次のような批評を得ました。「息を呑むような演奏。カラヤン氏は、作品の劇的、思索的な側面よりは、その音楽的力強さと叙情美にフォーカスを置き、意図した効果を達成した」ベルリン時代には、彼の解釈はよりスタイリッシュになり、速度も劇性も増しています。
当映像は、1967年の年末と68年年始のコンサートを土台としたもので、カラヤンはここで映像監督としてもデビューしています。これは彼の生前には公開が許可されませんでしたが、その理由は、カラヤンがライブで収録されたフィナーレの合唱のパッセージと、後から音声に合わせて映像収録された第1~3楽章が、マッチしないと考えたためだと考えられています。カラヤンは、これ以前の映像で共演した映像監督、アンリ=ジョルジュ・クルゾーとフーゴ・ニーベリングの照明の手法を、応用しています。
カラヤンは、ほとんど魔術的な存在感を放つ指揮者であり、オーケストラ作品は原則的に目を閉じて指揮する習慣を持っていました。しかしこの作品では、合唱のパッセージで目を見開いて演奏しています。彼はこれによって、ソリスト、合唱、オーケストラを掌握し、圧倒的な演奏を繰り広げています。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン
グンドゥラ・ヤノヴィッツ
クリスタ・ルートヴィヒ
ジェス・トーマス
ヴァルター・ベリー
© 1968 Unitel
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