イヴァン・フィッシャーがマーラーの交響曲第3番を指揮

ベルリン・コンツェルトハウス管の首席指揮者イヴァン・フィッシャーは、ベルリン・フィルのフレンドのひとり。今回は、マーラーの交響曲第3番を指揮しています。演奏は最初の瞬間から明晰で、紆余曲折の多い作品を実に分かりやすく、明確に再現しています。ベルリン・フィルとの息も、完璧。オケが指揮者の解釈に共感して、全身全霊で演奏していることが実感されます。デジタル・コンサートホールには、優れたマーラー「第3」が数多くアップされていますが、これも見逃せない解釈と呼ぶことができます。

「世界全体を映し出すような巨大な作品を想像してみてください」とマーラーは1896年夏、当時の恋人でソプラノ歌手のアンナ・フォン・ミルデンブルクに宛てた手紙の中で書きました。マーラーは歌劇場の仕事から開放されたこの時期、オーストリアのアッター湖畔のシュタインバッハで第3交響曲の作曲に没頭していました。やがて完成したこの交響曲は全6楽章にも及び、すでに大作の第2交響曲よりさらに15分ほど長い、総演奏時間約100分に及ぶ巨大な作品になったのです。

ホルンのユニゾンで始まる第1楽章だけで30分ほどの長さがあります。自然と生命を作品のテーマとしながらも、マーラーは崇高さと通俗さを混ぜ合わせることを厭いません。軍隊や縁日の音楽がこだまするかと思うと、深い絶望と神秘的な超越と並んで、グロテスクなユーモアと大衆の笑いが聴こえてきます。第4楽章ではアルト・ソロがニーチェの《ツァラトゥストゥラはこう語った》からの詩を歌い、第5楽章の《少年の魔法の角笛》からの〈3人の天使は歌う〉の合唱を経て、それまでの交響曲の常識を打ち破る、長大な賛歌のような美しいフィナーレで締めくくられます。

ベルリン・フィルがこの作品を初めて全曲演奏したのは1907年1月、作曲家自身に指揮によってでした。今回指揮するイヴァン・フィッシャーは1989年から定期的に客演しているベルリン・フィルのフレンドの一人。手兵のブダペスト祝祭管弦楽団やベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団とはすでに定評あるマーラー解釈を聴かせていますが、ベルリン・フィルとは初めてのマーラーでの共演。オケと完全に息の合った、見事な演奏を展開しています。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
イヴァン・フィッシャー
アンナ・ラーソン

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アーティスト

イヴァン・フィッシャー 指揮
グスタフ・マーラー 作曲

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