ラトル指揮、セラーズ演出によるリゲティ《ル・グラン・マカーブル》

リゲティの《ル・グラン・マカーブル》は、20世紀後半に書かれたオペラのなかでも、最も上演回数が多いだけでなく、真に楽しめる作品と言えるでしょう。その際、リゲティの書法は精緻さを極め、高度な音楽的要求とエンターテイメント性が見事に融合されています。サー・サイモン・ラトルは、ベルリン・フィルですでに抜粋を指揮していますが、全曲を取り上げるのは今回が初めて。ピーター・セラーズの演出は、突然やって来る「この世の終わり」を原発の爆発事故として解釈しています。

リゲティの《ル・グラン・マカーブル》は、20世紀後半に書かれたオペラのなかでも、最も上演回数が多いだけでなく、真に楽しめる作品と言えるでしょう。ベルギーの劇作家ミシェル・ド・ゲルデロードの戯曲《グラン・マカーブルのバラード》に基づくこのオペラは、戦争に対するグロテスクな寓話であり、不合理演劇や中世の「死の舞踏」、さらに年の市の見世物などの要素が凝縮されています。ゲルデロードは1956年のインタビューでこう語りました。「グラン・マカーブルで私は死というものを逆さに立てた。死をコミカルなキャラクターにしたのだ。それは私の復讐であり、死の生を奪った復讐でもあった」。

自らも戦争により死にかけた経験を持つリゲティは、このオペラが持つ力についてこう語ります。「死への恐怖、恐怖への賛美、そして笑いやユーモア、グロテスクによって恐怖を乗り越えること」。架空の国ブルーゲルランドを舞台にしたこのオペラでは、ケーキが大好きなゴーゴー侯、占星術師のアストラダモルス、巨大なクモをペットにするその妻メスカリーナ、秘密政治警察の長官ゲポポ、「大いなる死(グラン・マカーブル)」であるネクロツァール、その他正体のはっきりしない登場人物が悪事を働きます。

リゲティの書法は精緻さを極め、高度な音楽的要求とエンターテイメント性が見事に融合されています。サー・サイモン・ラトルは、ベルリン・フィルですでに抜粋を指揮していますが、全曲を取り上げるのは今回が初めて。ピーター・セラーズの演出は、突然やってくる「この世の終わり」を原発の爆発事故として解釈しています。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル

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カテゴリー

アーティスト

サー・サイモン・ラトル 首席指揮者 (在任期間 2002-2018)
ジェルジ・リゲティ 作曲
アンナ・プロハスカ ソプラノ
ベルリン放送合唱団
ピーター・セラーズ 演出

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