ラトルがブルックナーの交響曲第8番を指揮

サー・サイモン・ラトルが、ブルックナーの「交響曲第8番」を指揮しました。彼がベルリン・フィルでこの作品を取り上げるのは、今回が初めて。以前、オーケストラ・アカデミーの40周年公演で振っていますが、ベルリン・フィル本体との演奏はありませんでした。それだけに、力のこもった内容となっています。オケの演奏は完璧。フレージングは一糸乱れず、緊張感に満ち溢れ、ラトルの気迫がベルリン・フィルにも乗り移った出来と言えるでしょう。彼がベルリンでやり残していた仕事が、またひとつクリアされた、という印象です。コンサートの冒頭には、サイモン・ホルトの短い新作《スルコス》が初演されています。

サー・サイモン・ラトルが、ブルックナーの「交響曲第8番」を指揮しています。ブルックナーの全交響曲の中でも一際モニュメンタルなこの作品は、音のブロックを積み上げてゆく上昇と再び後退する動きとが繰り返されることによって、比類のないエネルギーが獲得されています。第1楽章では、もやに覆われたようなホルンと弦楽器のトレモロによる不気味な響きから最初の主題が立ち現れ、展開部では音楽の力が互いにぶつかり合います。次第にピアニッシモの中で音が消え去るこの楽章のコーダを、作曲家は「あきらめ」と説明しました。牧歌的なトリオを持つスケルツォの後に来るアダージョは、ワーグナーチューバのほの暗い響きに特徴付けられます。第4楽章の展開部で様々な動機の要素が緊密に組み合わさり、さらにコーダでは過去の楽章の主題が重ね合わせられ、圧倒的な幕切れを迎えるのです。

ラトルがベルリン・フィルでブルックナーのこの作品を取り上げるのは、今回が初めて。2012年にオーケストラ・アカデミーの40周年公演で一度だけ振っていますが、ベルリン・フィル本体との演奏はありませんでした。それだけに、力のこもる演奏会となっています。コンサートの冒頭には、BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団のコンポーザー・イン・レジデンスを長年務めたサイモン・ホルトの短い新作《スルコス》が初演されています。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル

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アーティスト

サー・サイモン・ラトル 首席指揮者 (在任期間 2002-2018)
サイモン・ホルト 作曲
アントン・ブルックナー 作曲

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