来日直前に演奏されたラトルのマーラー「第9」
2011年11月22日から、ベルリン・フィルの3年ぶりの日本公演が行なわれました。その主要演目のひとつであるマーラーの「交響曲第9番」がまずベルリンで取り上げられ、デジタル・コンサートホールで中継されています。これはラトルのマーラー・ツィクルスの大詰めをマークするものでもあり、シリーズのなかでも特に成果が期待されました。ラトルの円熟、そしてベルリン・フィルとの関係の成熟が、新しい時代の名演を聴かせてくれるに違いありません。
2011年11月22日から、ベルリン・フィルの3年ぶりの日本公演が行なわれました。その主要演目のひとつであるマーラーの「交響曲第9番」がまずベルリンで取り上げられ、デジタル・コンサートホールで中継されています。これはラトルのマーラー・ツィクルスの大詰めをマークするものでもあり、シリーズのなかでも特に成果が期待されました。ラトルの円熟、そしてベルリン・フィルとの関係の成熟が、新しい時代の名演を聴かせてくれるに違いありません。
マーラーは、2011年の死の1年前にこの作品を完成させました。この時期彼は、「交響曲第8番」を初演してキャリアの頂点にあり、ニューヨーク・フィルの首席指揮者としての前途も開かれていました。それゆえ、必ずしも悲劇的な状況にあったわけではありません。しかし当作の作風は、まぎれもなく悲哀と死の影を湛え、聴く者の心を深く打ちます。その含蓄の深さ、感情表現の密度は、マーラーの作品のなかでも特別なレベルにあると言えるでしょう。
プログラムの前半には、ドイツを代表する現代作曲家、ヘルムート・ラッヘンマンのオーケストラのための《タブロー》が演奏されました。ラトルも敬愛してやまないこの作曲家は、この年の10月27日にドイツ連邦共和国功労勲章を受章したばかりでした。
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