クリスティアン・ティーレマンがチャイコフスキーの《悲愴》を指揮!
ティーレマンはワーグナー、シュトラウスなどのスペシャリストとして有名ですが、当演奏会ではドビュッシーの夜想曲、メシアンの《ミのための詩》、チャイコフスキーの作品を指揮しました。なかでも注目は、チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》でしょう。ベルリン・フィルによる《悲愴》といえば、何と言ってもカラヤンの名解釈が有名です。ティーレマンはカラヤンのアシスタントを務めた経験がありますが、彼の解釈にもすでに大家の風格が感じられます。
2012年3月に連続登場したクリスティアン・ティーレマンの2回目の演奏会です。ティーレマンはワーグナー、シュトラウスなどのスペシャリストとして有名ですが、当演奏会ではドビュッシー、メシアン、チャイコフスキーの作品を指揮しました。なかでも注目は、チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》でしょう。ベルリン・フィルによる《悲愴》といえば、何と言ってもカラヤンの名解釈が有名です。ティーレマンはカラヤンのアシスタントを務めた経験がありますが、彼がこの大作をどのように聴かせるのか、興味が尽きません。
交響曲第6番《悲愴》は、チャイコフスキーの人生を表現した交響曲と呼ぶことができます。弟モデストによれば、各楽章は、彼の人生の様々な側面を象徴していると言われます。第1楽章では生の苦悩、真実への憧れ、第2楽章では過ぎ去ってゆく幸福のはかなさ、第3楽章では彼の音楽の発展史が描かれています。そして終楽章には、彼が晩年に経験した苦しみ、絶望が表われています。なおチャイコフスキーは、1993年11月、この曲を初演した9日後に、コレラが原因で急死しました。
ドビュッシーの夜想曲は、豊かな音色美に彩られた典型的な印象派の作品です。第1曲〈雲〉では、ゆっくりと空を横切る雲の様子が、深い憂愁と共に描かれます。第2曲〈祭〉は、祭の主題と幻のような行列の主題が対照を成しています。第3曲の〈シレーヌ〉では、女声合唱が神秘的な雰囲気を醸し出します。同じくフランス出身のメシアンは、歌曲集《ミのための詩》を彼の妻クレール・デルボスに捧げました。彼女は夫から「ミ」と呼ばれており、作品は愛妻へのオマージュと言えます。劇的な旋律にのせた9つの神秘的なテキストも、メシアン自身の手によるものです。ソリストは、カナダ出身のソプラノ、ジェーン・アーチボルド。ヨーロッパ各地の歌劇場で活躍する彼女の表現力豊かな歌唱に、魅了されます。
© 2012 Berlin Phil Media GmbH
関連インタビュー