カラヤン指揮:ベートーヴェン「交響曲第2・8番」
カラヤンのベートーヴェン交響曲全集から、交響曲第2番、第8番が演奏されています。このシリーズのなかでは比較的地味な曲目ですが、カラヤンとベルリン・フィルのウィットに富んだ洗練された演奏は、これらが他の交響曲に劣らない傑作であることを教えてくれます。全盛期のカラヤンならではの美しい指揮姿に、彼の映像芸術の成熟が感じられます。
カラヤンのベートーヴェン交響曲全集のなかでも後期の映像です。実験的な方向性は影をひそめ、比較的通常の収録に近づいています。それまでの極端な接写や、カットのめまぐるしい変動は少なめになり、ある意味で音楽に集中して観ることができます。しかし、全景を避けたり、譜面台が極力画面に入らないようにするなど、カラヤンが微妙な点に拘ったことが感じられ、その意味で彼の思考のエッセンスが見えるようです。映像監督は、ハンス・ヨアヒム・ショルツが担当しています。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン
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