ラトルのベートーヴェン・ツィクルス第2弾

ラトルとベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲ツィクルスの第2夜では、交響曲第2番と第5番《運命》、レオノーレ序曲第1番が演奏されています。《運命》は、あらゆる交響曲のなかでも最も有名な人気曲に数えられますが、当時の聴衆にとっては、破格の作品でした。今日この曲を演奏するにあたっては、その衝撃を追体験させることができるかが、要となります。ラトルとベルリン・フィルの演奏も、破格の演奏能力で我々を驚かせます。

サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルのベートーヴェン・ツィクルス第2夜は、交響曲第2番と第5番です。1801年から翌年にかけて作曲された交響曲第2番は、第1番に比べて内容、規模共に格段の進化の跡が見られ、後のベートーヴェンを指すのによく使われる「偉大さ」「崇高さ」の萌芽がすでに顔をのぞかせています。初演時の新聞が評したように「巨大な作品」であり、特に第4楽章では劇的な曲想を持つ主題と長大なコーダが相まって輝かしいフィナーレを築きます。

1808年に初演された交響曲第5番は、ベートーヴェンがすでに《エロイカ》の葬送行進曲で用いたように、フランス革命の音楽のイディオムを取り入れた作品です。終楽章で初めて登場する3本のトロンボーン、ピッコロ、コントラファゴットを含めた巨大な編成は、儀式的な軍隊音楽のそれと類似し、それゆえフランス革命時に書かれた音楽と多くの関連性が見られます。例えば、ローベルト・シューマンは同時期に生まれたエティエンヌ=ニコラ・メユールの交響曲第1番との類似を指摘しましたし、「第5」の有名な冒頭のモチーフはフランス革命の公式音楽として演奏されたルイジ・ケルビーニの《パンテオン讃歌》(1792年)から引用したかのようです。

そのようなフランス革命の自由、平等、友愛の精神に貫かれたのが、ベートーヴェンの唯一のオペラである《レオノーレ》(もしくは《フィデリオ》)です。今回取り上げられる《レオノーレ》序曲第1番は4種類ある序曲のうち3番目に書かれたものですが、上演される機会は稀。ラトルならではの凝ったプログラム構成といえるでしょう。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
サー・サイモン・ラトル

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アーティスト

サー・サイモン・ラトル 首席指揮者 (在任期間 2002-2018)
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 作曲

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