ティーレマンがリストの交響詩を指揮。モーツァルトのピアノ協奏曲のソリストはポリーニ!
19世紀後半、音楽を他の芸術ジャンルと結びつけることを目標とした、「新ドイツ楽派」のグループが一大勢力を築きました。クリスティアン・ティーレマン指揮による当演奏会では、新ドイツ楽派の作風を代表するリストの3つの交響詩が取り上げられました。コンサートに華を添えるのが、ポリーニがソロを弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第21番。フィルハーモニーでは初となったティーレマンとの共演をお聴きください。
19世紀後半、音楽を他の芸術ジャンルと結びつけることを目標とした、いわゆる「新ドイツ楽派」のグループが一大勢力を築きました。その立役者フランツ・リストは、もう一人の中心人物リヒャルト・ワーグナーと共に、伝統主義の立場をとったヨハネス・ブラームスとしばしば対比されます。
クリスティアン・ティーレマン指揮による当演奏会では、新ドイツ楽派の作風を代表するリストの3つの交響詩が取り上げられました。フランスの詩人アルフォンス・ド・ラマルティーヌの詩を手本とした『前奏曲』、ヴィクトル・ユゴーの叙情詩から生まれた『マゼッパ』、画家ジッチ・ミハーイのスケッチからインスピレーションを受けて書かれた『ゆりかごから墓場まで』です。
これら標題音楽の先駆を成した音楽に、フェリックス・メンデルスゾーンの演奏会用序曲が挙げられます。冒頭に置かれた『静かな海と楽しい航海』は、ゲーテの2つの詩に基づいて生まれた作品。メンデルスゾーンが目指したのは、海原の完全な静寂とやがて立つ風を音楽的に描写することであり、喜びに沸く中、船が故郷の港に到着するところで曲は終わります。
もう1つの演目は、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番。1785年3月のウィーン・ブルク劇場での上演のため、時間が押し迫った状況で作曲されました。整った造形、メロディーとハーモニーにおける斬新なアイデアによって、彼のピアノ協奏曲の中でもとりわけ人気の高い作品に数えられるでしょう。ソリストを務めるのはマウリツィオ・ポリーニ。ベルリン・フィルと長い共演歴を持つポリーニですが、フィルハーモニーでティーレマンと共演するのは、この時が初めてでした。
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