カラヤン指揮:ベートーヴェン、ウェーバー、ロッシーニ、ワーグナーの序曲
本質的に「劇場の人」だったカラヤンが、ここではベートーヴェン、ロッシーニ、ウェーバー、ワーグナーから5つの劇場音楽を選び、見事な指揮ぶりを披露しています。1975年1月に収録されたこの映像は、カラヤンとベルリン・フィルが遺した中でも特に感銘深い記録の一つに数えられるでしょう。
1975年1月に収録されたこの映像は、カラヤンとベルリン・フィルが遺した中でも特に感銘深い記録の一つに数えられます。1967年にザルツブルク・イースター音楽祭が創設されるまで、ベルリン・フィルがオーケストラピットで演奏する経験は皆無でしたが、その後の21年間でワーグナー、ヴェルディ、ベートーヴェン、シュトラウス、プッチーニの19のオペラをカラヤンの指揮と演出のもとで演奏しています。本質的に「劇場の人」だったカラヤンが、ここでは5つの代表的な劇場音楽を選び、見事な指揮ぶりを披露しています。
ロッシーニのオペラ《ウィリアム・テル》を、カラヤンは歌劇場で指揮することはありませんでしたが、4つの部分から成る交響詩風の序曲は生涯に渡って愛奏しました。すでに1928年、彼はウィーンの音楽アカデミーの卒業試験でこの曲を取り上げています。その際、カラヤンは冒頭のチェロのパッセージに特に注意を払い、トランペット奏者には、有名な終結部のリズムを正確に演奏できるようあえて個別に吹かせたと言われています。
ワーグナーの《タンホイザー》は、カラヤンが歌劇場で何度も指揮したものの、全曲録音を遺さなかった作品です。ここでは、内側から燃え上がるような充実した演奏を聴くことができます。長年カラヤンを間近で見続けたある奏者は、このように回想しています。「コンサートでの彼は、信じられないような力と緊張感を放っていました。彼の筋肉はそれだけ緊張していたため、解決困難な左手の痛みとしばしば闘っていました。しかし、彼は一旦指揮台に立つと、そんなことはまるで意に介さなかったのです」
© 1975 Unitel